脳科学者の茂木健一郎氏は5月3日、自身のYouTubeチャンネルに投稿した動画の中で、将棋の藤井聡太八冠と、プロフィギュアスケーターの羽生結弦の共通点を分析した。
YouTubeチャンネル『茂木健一郎の脳の教養チャンネル』より
藤井八冠は5月2日に行われた叡王戦第3局で伊藤匠七段に敗れ1勝2敗に。タイトル戦で自身初となる連敗を喫し、カド番(次の対局に負けるとタイトル戦の敗北)に追い込まれた。これを受けて動画を更新した茂木氏は、将棋について「僕はマインドスポーツだと思ってるんですね」と切り出した。
茂木氏は人間が自分の能力を使い、100m走をやるのがスポーツ、知恵を絞って戦うのが将棋(マインドスポーツ)とし、将棋で藤井八冠がやっていることをと、フィギュアスケートの競技で羽生がやっていることは似ているという。
将棋もフィギュアスケートも指し手のすごさや華麗な技に強い印象を受けがちだが「重要なのはミスをしないこと」。フィギュアスケートで勝つために重要なのは「一連の演技の中でミスしない」ことで、「常に最善のスケーティングを続けるってことがフィギュアスケートという競技の本質」だと茂木氏は語る。
一方、将棋においては強い棋士同士が良い手を繰り出す中で「どこかでミスをする。最善手を見つけられないとか、あるいは大ポカをして変な手を指してしまうとか、そういうことが敗戦につながることもある」という。叡王戦第3局の内容は知らないとしながらも、「一連の将棋の指し手の中でミスをしないということが重要な競技になっていると僕は理解してるんですね」と説明した。
茂木氏は、藤井八冠が脳の中で将棋の駒の動きをシミュレーションすることを「羽生結弦さんがスケートしてるときの動きと似てる感じがする」と形容。「一連の動きにミスがないということが藤井さんが勝ち続ける条件になっている。ある意味では過酷な競技ですよね」と想像した。
「マインドスポーツとしての将棋の競技も、途中でミスをできないというところでは、羽生結弦さんのスケートと同じ」「どちらも人間の限界に挑戦してるっていうところは変わらない」と茂木氏はまとめた。
視聴者は「どちらが勝利を収めても、素晴らしいと思う。過酷…本当に。頭が下がりますね」「すばらしい考察を聞いた」と、茂木氏の解説に感銘を受けていた。
参考:YouTube公式チャンネル『茂木健一郎の
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