元放送作家の長谷川良品氏が4月20日、自身のYouTubeチャンネルにて、テレビ朝日『モーニングショー』の迷子密着ロケで子どもの顔が映ってしまった問題について言及。テレビがなぜこうしたプライバシー侵害をするのかについて解説した。
YouTube公式チャンネル『長谷川良品「テレビ悲報ch」』より
4月8日放送の『モーニングショー』で、花見会場で迷子になった2歳の女の子と父親の、再開の様子が密着取材された。父親は当初、取材を断ったが、顔を映さないという条件で取材を承諾。しかし、放送された映像では父親と2歳の娘の顔がはっきりと映っていた。父親はこの事態を重く受け止め、テレビ朝日に対して抗議。19日の放送で、ようやく番組内で謝罪があった。
番組側は、取材をお願いした際に「顔を映さない」と約束した事実は確認できなかったとコメント。ただし、番組としては今回のような特殊な状況で、心情に配慮してインタビューの条件について念を入れて確認するなど、より丁寧な作業を心掛けるべきだったと認め、男性とその家族に対して謝罪した。
テレビ朝日の謝罪に対し、長谷川氏は「よくわからない謝罪」とコメントし「こうした言い訳がましい謝罪に意味があるのでしょうか」と指摘した。
そのうえで「結論からいってしまうとテレビクルーの言う“絶対に顔は映さない”だけは信用しないほうがいい。詐欺師の言葉と受け止めてもいいくらいです」と断言。こうした現場での口約束は伝言ゲームのように伝わり、上層部に届く頃には原型を留めていないことが多いためと解説した。特に今回のお花見特集など、即日性を求められる現場取材では確認事項の伝達がおろそかになり、トラブルが起こりやすいと指摘。
長谷川氏は、テレビマンにとって迷子密着ロケは「コスパの良いトラブル」であり、簡単に感動ドラマを作るための道具であると解説した。そのため、モザイクやプライバシーへの配慮よりも、視聴者の感情移入を優先してしまうと考察している。
また「迷子になる子どもはかわいければかわいいほど好ましい」など倫理感の足りない言葉が普通に飛び交っていることに触れ、子どもが視聴者の感情を操作するための道具として扱われていると指摘した。
「迷子密着のようなセンシティブな案件で、子どもの顔をさらしものにするような発想自体、もういい加減やめにしたほうがいいんじゃないでしょうか」とテレビ業界
コメント