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藤井聡太七冠の活躍もあって活況を呈している将棋界だが、その陰で復権を遂げつつあるのが羽生善治九段だ。数年前に低迷した時期もあったが、2022年度からは高い勝率を誇るようになった。その要因はどこにあるのだろうか。
羽生九段といえば、名人位につながる順位戦で2021年度、A級からB級1組に降級。一般的に名人経験者がB級1組に落ちると引退、もしくは未来永劫、順位戦を戦わない「フリークラス棋士」となりキャリアを転換することも昔は多かったが、羽生九段は現役続行を選択した。
羽生九段は2021年度、順位戦を含めて14勝18敗とプロ入り初の負け越しとなった。だが2022年度に入ると33勝18敗と大幅に良化。
2023年度はこれまで10勝7敗だが、王位戦で佐々木大地七段に挑戦権を譲ったものの、挑戦者決定戦に進出するなど、復活の兆しを見せつつある。
復調したのはなぜなのか。それはAIを用いた序盤戦術の精度の良化にありそうだ。
羽生九段の成績が22年度から大幅改善したワケ
「現代は序盤のミスが致命傷になることも多い。そんな中、羽生九段がAIを導入したのは3、4年前とされる。だがAIを導入すればすぐに序盤が良くなるわけではない。AIが提示する指し回しに人間がついていけないことも多く、羽生九段といえども最初の時期はAIの扱いに苦労したのでは」(将棋記者)
どうやらAIに適応できるようになったのが、復活の一因とも言えそうだ。一方で不安要素もなくはないという。
「AIを用いて容易に解析できるソフト『棋神アナリティクス』が22年5月にリリースされた。主にプロに向けたもので、スタンダードプランは月の基本料金が1万1000円と高い。しかし、これがあれば難しい設定をしなくてもサクサク研究できるようになり、かたくなにAIを研究に取り入れないと主張してきたプロ棋士もAIを用いるようになっている。
他にも棋神アナリティクスのライトプラン(月額基本1100円)や『KENTO』、Android向けの『ShogiDroid』など、お金はかかるもののPC、携帯で手軽に序盤を研究できるソフトが増えた。
プロのみならず、末端のアマチュアでも容易にAIを扱えるようになり、棋力差があっても序盤で大きなリードを奪って格上を倒す場面が散見される。羽生九段においても、これまで
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