藤井聡太 画/彩賀ゆう (C)まいじつ
藤井聡太七冠に佐々木大地七段が挑戦する将棋の第64期王位戦は7月7、8日に第1局が指され、97手で藤井七冠が勝利。防衛に向けて幸先良いスタートを切った。
一方、佐々木七段の早い投了に疑問の声が出ているが、ファンらが〝評価値〟を信頼しすぎているせいかもしれないという。
第1局は横歩取りで進行。難解な中盤戦が続いたが、藤井七冠が徐々にリードを奪う形に。
佐々木七段の玉型は手付かずで、すぐに王様が詰まされる場面ではなかったが、潔く投了を選択した。
投了した場面で、ABEMAが表示した評価値(勝率)は佐々木七段が18%、藤井七冠が82%。
これは82%の確率で藤井七冠が勝つとコンピューターソフトが判断していることを意味する。
第1局を中継したABEMAのコメント欄やSNSには、《深浦(康市)九段の弟子にしては少し諦めるのが早い》《なんでそこで投げるんだ》といった厳しいコメントが並んだ。
評価値をもとにした批判は“地獄”か…
確かに、ABEMAの将棋中継を見ると、評価値が「99%」に振れた場面で終局となる場合が多い。
「勝率が18%」の場面で投げることに、疑問を持つファンの気持ちも分からなくはないが…。
「指摘すべきなのは、評価値が投了のタイミングに影響しないということ。
知っての通り、今やソフトの棋力は人間を凌駕している。ただ、ソフト同士ならともかく、人間同士が指したとして逆転の見込みがある、ないと判断する能力までソフトが備えているわけではない。
99対1であっても逆転することはあるし、80対20であっても逆転の見込みがないこともある。
プロ棋士は投了図の美しさにもこだわりを持つ。いわゆる『クソ粘り』をして局面をぐちゃぐちゃにして、棋譜を汚して大差で投了するよりは、ある程度負けが近づいている局面だとファンが理解できる場面で投げるのがプロ棋士の美学だ。
第1局に関しては、佐々木七段の投了も納得できる」(観戦記者)
そもそも、AIの評価値をもとに初心者がプロの指し回しをあれこれと評論する文化が、将棋界に悪影響を及ぼしているのかもしれない。
「例えばAIが『悪手』と判断した手を羽生善治九段が指すと、まったくの初心者とみられる観戦者から『羽生の時代は終わった』といったニュアンスの、辛らつなコメントが相次ぐ。
しかし、羽生九段が指した手はプロ
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