“ポストチェンソーマン”候補筆頭! ジャンプ+『ダンダダン』の漫画力が限界突破
“ポストチェンソーマン”候補筆頭! ジャンプ+『ダンダダン』の漫画力が限界突破 (C)PIXTA
『チェンソーマン』を見出したコアな漫画ファンたちのあいだで、熱視線を浴びている作品がある。『少年ジャンプ+』で連載されている龍幸伸のSFホラーバトル漫画『ダンダダン』だ。8月8日に配信された最新話でも、圧巻の“漫画力”を見せつけていた。
※『ダンダダン』最新話の内容に触れています
同作は、宇宙人や妖怪などの怪奇現象を闇鍋のようにミックスした作品。宇宙人を信じる綾瀬モモと、オカルトを信じる“オカルン”こと高倉健の出会いから始まる、バトルありラブコメありの物語だ。
直近の展開では、外宇宙からの侵略者が大規模な襲撃を始め、モモらキャラクターがそれを迎え撃つ展開が描かれていた。さらに宇宙人の航空隊による空爆が始まるなか、これまでモモをつけ狙っていた妖怪・カシマレイコが再登場を果たす。
絶望するモモだったが、カシマレイコはどうやら目の前の光景に戦時中の空襲を重ね合わせたようで、標的を宇宙人へと変えるのだった──。
一見アクロバティックにも見えるが、実はこれは妖怪のルーツを巧みに生かした展開だと解釈できる。カシマレイコは、戦争にルーツをもつ妖怪という説があり、元々は戦時中もしくは敗戦直後に不幸な最期を遂げた人物だったと言い伝えられてきた。
さらに驚くべきは、「ダンダダン」の配信スケジュールが持つ意味だろう。この話が公開されたのは8月8日であり、二度の原爆投下に挟まれた日だ。そして次回の配信日は、終戦記念日である8月15日の予定となっている。
“カシマさん”の伝承を踏まえた上で、この時期にメッセージ性のある展開をぶつける手腕に、読者からは《ストーリー展開を逆算してこの時期に戦争に関する話を持ってきたであろうダンダダン、凄すぎる》《これだけ嫌味なくエンターテイメントとメッセージ性を共存させる作者の力量よ》と称賛の声が上がっている。
藤本タツキとの影響関係
カシマレイコに限らず、「ダンダダン」の作中に登場する妖怪は人間の悪意によって生まれたものばかり。ターボババアは理不尽な死を遂げた少女を守る存在であり、第13話に登場するアクロバティックさらさらは、娘をさらわれたシングルマザーの悪霊として描かれている。
こうして原典を踏まえつつ、深みを与えたキャラクター描写を積み重ねてきた
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